グラマンの攻撃が途絶えて２・３日経た朝、突然シャーという風を切るような大きな音にびっくりして、木の葉ごしに上空を見た所、大きな木の葉をかすめるくらいの超低空で、双発の爆撃機７・８機がエンジンを止めて次々と滑空しながら落下傘爆弾を投下しつつ、更に後部銃座の機関銃で、木の葉がくれにチラチラ見える我々日本兵を銃撃してきたが、機種はアメリカ陸軍の特徴である銀色、双発のノースアメリカン型爆撃機の編隊で、以後当分この機がサルミ地区全域を銃爆撃して来た。

　　それぞれの壕を掘り、大砲・観測機材・機関銃等を設置し、偽装等の作業をしている間も、ノースアメリカン機が執拗な落下傘爆弾投下や機銃掃射等、低空攻撃をしてきたので、その都度作業を中止して壕に避退したので作業は進まず、そして敵機は低空をエンジンを止めて滑空して来るので、上空に迫るまで判らず、機関銃での追従射撃だったので効果は判らなかった。

　落下傘爆弾は、米空軍がジャングル内の日本兵を爆撃するべく考えられた方法で、低空でなければ日本軍が見えず、低空で爆弾を落とすと自分の機も破裂に巻き込まれるので、落下傘をつけて落下速度を遅くし、その場から離れるという事で、ジャングルの爆撃には盛んに使われた。

　一方落とされた我々日本軍は、爆撃機が通り過ぎた後、爆弾が破裂したり、、落下傘爆弾が高い木の枝に引っかかってユラユラゆれており、何時木から落ちて破裂するか判らず、びっくりしたり不気味な思いをした。